会社を立ち上げたばかりの時期は、経営資源を事業の立ち上げに集中させる必要があります。
一方で、実務が始まると同時に、様々な外部リスクも動き出します。
中でも注意が必要なのが「損害賠償リスク」です。
今回は、創業期の経営者が知っておきたい賠償リスクの基本について解説します。
賠償リスクとは?
事業活動を行うなかで、第三者にケガをさせてしまったり、財物を破損してしまうと、損害賠償責任が発生する可能性があります。
これは企業の規模や業種にかかわらず、広く発生し得るリスクです。
たとえば、以下のようなケースが挙げられます:
- 来社中のお客様が社内で転倒し、ケガを負ってしまった
- 自社製品の不具合で、取引先の設備に損害が出てしまった
- 作業中に誤って他人の所有物を破損した
- 個人情報を含む資料を紛失してしまった
こうした事象は、「想定外」のタイミングで突然起こることがあります。
創業初期に特有のリスク
創業初期の企業は、リスク発生時の金銭的余裕が少なく、想定外の支出によって経営に深刻な影響が及ぶ可能性があります。
また、社内にまだ十分なリスク管理体制が整っていない場合、トラブル対応が後手に回ることも。
こうした背景から、創業直後の企業こそ、最低限のリスクについて情報収集しておくことが大切です。
よくある賠償リスクの例(業種別)
以下は、業種別に見られる主な賠償リスクの一例です:
- 建設業・設備業
→ 工事中に通行人にケガをさせた、近隣の物件に損害を与えた - 小売・飲食業
→ 店舗内での転倒事故、提供した商品による健康被害 - 製造業
→ 製品不良による取引先設備の故障 - IT業・士業・コンサルティング業
→ 顧客データの誤送信や漏えい、助言内容を巡る損害請求
これらはすべて、損害賠償責任の対象となる可能性があります。
リスクへの対応方法
賠償リスクへの備えとしては、以下のような取り組みが考えられます。
- 契約書や業務マニュアルによる明確な責任範囲の整理
- 作業前のチェック体制・安全対策の徹底
- 社内教育による再発防止策の徹底
- 外部専門家との相談体制の構築
- 金銭的備えの一つとして、必要に応じた保険制度の活用
「保険」についても、あくまで選択肢の一つとして位置づけられます。
どのような制度や仕組みがあるのか、まずは情報を集めることが第一歩です。
まとめ:経営者が知っておきたい“万が一”の基礎知識
創業期は事業に全力を注ぐ一方で、外部からの突発的なトラブルにも注意が必要な時期です。
リスクの内容を把握し、どこまで対処できるかをあらかじめ整理しておくことは、
事業を長く安定して継続していくうえで欠かせません。
川崎保険センターでは、法人の皆さまが直面する様々な事業リスクについて、
情報提供や相談対応を行っています。
ご興味のある方は、以下のページも参考になさってください。
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