派遣元・派遣先が知っておきたい企業リスク
人材不足を背景に、多くの企業で人材派遣の活用が進んでいます。
一方で、「派遣社員が事故を起こした場合、責任は誰が負うのか?」
というご相談をいただくことがあります。
実際に、
・派遣社員が取引先の商品を破損した
・派遣社員が第三者へ損害を与えた
・派遣社員の業務ミスによって損害が発生した
といった事故は決して珍しいものではありません。
今回は、派遣社員による事故が発生した場合の責任関係と、企業として準備しておきたいリスク対策について解説します。
派遣社員は「雇用」と「指揮命令」が分かれています
派遣社員は、雇用契約は派遣元企業と締結し、実際の業務指示は派遣先企業から受けています。
つまり、
・雇用主は派遣元
・業務上の指揮命令は派遣先
という特徴があります。このため、事故が発生した場合の責任関係は単純ではありません。
事故の内容によって責任の所在は異なります
例えば、
・フォークリフト事故
・製品破損
・顧客情報の漏えい
・作業ミスによる損害
など、事故の内容はさまざまです。裁判例においても、
派遣先の指揮命令や安全管理体制が問題となるケースがあります。
一方で、派遣元の教育や人員配置、管理体制が問われる場合もあります。
つまり、
「派遣先だけの責任」
「派遣元だけの責任」
と単純に判断できるものではありません。
事故の状況に応じて個別に判断されることになります。
派遣先から保険加入確認を求められるケースも増えています
最近では、
派遣契約の締結時や更新時に、
派遣先企業から
「賠償責任保険へ加入していますか?」
「加入証明書を提出してください」
と求められるケースも増えています。
実際に当社のお客様でも、
新規取引開始時に提出を求められた事例がありました。
これは保険加入そのものを目的としているのではなく、
派遣会社のリスク管理体制を確認するための一環として行われることが多いようです。
派遣会社向けの賠償責任保険もあります
派遣会社を取り巻くリスクは、
一般企業とは少し異なる部分があります。
例えば、
・派遣社員の業務ミス
・第三者への損害
・情報漏えい
・派遣先とのトラブル
などです。
そのため保険業界では、
派遣業向けの賠償責任保険が用意されている場合があります。
ただし、補償範囲や対象となる事故は契約内容によって異なります。
重要なのは、保険の有無だけではなく、
自社がどのようなリスクを抱えているかを把握することです。
「事故が起きた後」より「事故を起こさない体制」が重要
企業リスク対策として最も重要なのは、
事故発生後の責任論ではありません。
むしろ、
・派遣社員への教育
・派遣先との情報共有
・業務範囲の明確化
・事故発生時の連絡体制
など、
事故を未然に防ぐ仕組みづくりです。
まとめ
派遣社員が事故を起こした場合、
責任は必ずしも派遣元または派遣先のどちらか一方だけが負うとは限りません。
事故の内容や指揮命令関係によって、
派遣元、派遣先、本人それぞれの責任が検討されることになります。
また近年では、派遣先から賠償責任保険の加入確認や加入証明書の提出を求められるケースも増えています。
重要なのは、事故が起きた後の対応だけではなく、
日頃からリスク管理体制を整備し、事故を未然に防ぐ仕組みを構築することではないでしょうか。
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